千代田区議会情報公開条例提案理由説明
平成12年第1回定例区議会継続会・平成12年3月24日
千代田区議会は、これまで、開かれた議会の実現を目指して、本会議はもちろんのこと、すべての委員会を公開し、自由な傍聴と資料の閲覧等、区民への公開性を重視した議会運営に努めてきました。
また、これまで、区民に親しまれ、読みやすい編集に心がけてきた区議会だよりに加えて、情報化時代に対応したインターネットホームページを導入し、議会活動の積極的な情報提供も進めてきました。
近年、社会経済状況の著しい変化や地方分権の推進等により、議会の検査権や調査権が拡大され、また、区民の議会に対する意識も変わりつつある中で、これまで以上に政策・調査機能の充実が求められる等、区議会の役割はますます重要なものとなってきています。
このような状況を踏まえ、これからの時代に的確に対応し、実効性のある情報公開制度の必要性から、平成11年6月9日の議会運営委員会において、議会独自の情報公開条例を制定するための情報公開検討会が設置確認され、6月16日には検討会の委員を選出した後、7月29日に第1回検討会を開催しました。
検討会では、まず情報公開全般にわたる資料を各自治体や議会の資料とあわせて収集し、これをもとに、課題となる事項を精力的に調査、分析等を行ってきました。
この間、学識経験者との勉強会や意見交換を始め、他の自治体や議会の調査を進め、また全議員への説明と意見の交換を行い、条例の基本的事項についての考え方をまとめました。
この間、学識経験者との勉強会や意見交換を始め、他の自治体や議会の調査を進め、また全議員への説明と意見の交換を行い、条例の基本的事項についての考え方をまとめました。
この基本的事項についての考え方に基づいて、条例案の具体的な内容の検討を進め、去る3月17日に第10回目の検討会におきまして、条例案をまとめました。さらに、3月21日には、この条例案を全議員を対象とした全員協議会において説明をし、3月23日の議会運営委員会において最終的な確認が行われました。
なお、この間、区民に対する周知と意見聴取を行うため、情報公開条例の基本的な方向性と考え方を示した区議会だよりの特集号を発行しました。
以上が情報公開条例案の検討経過の概要です。
次に、条例案の内容につきまして、ご説明します。
条例案は、前文と第5章、20条から構成されています。主な特色を申し上げますと、まず、区民の知る権利の保障と議会の説明する責務を明確にし、区民とともに歩む公正で民主的な議会運営の確立を目指していくことを前文で明記したことです。
第2条の定義では、公文書を区議会事務局の職員が職務上作成し、取得したもので、議長が管理しているものとし、情報化時代に対応して、磁気ディスクや光ディスクも対象としたことです。
第3条の議長の責務では、個人のプライバシーに関する情報が公開されることのないよう、慎重かつ最大限の配慮をした上で、原則的には公文書を公開していくこととしたことです。
また、公文書の適切な管理、保存、目録の作成、条例の運用等の周知を規定したほか、情報公開制度を改善するときは、区民や学識経験者等の意見を聴くことと規定しました。
第5条の公文書の開示請求権では、誰もが請求できる何人と規定しています。請求できる対象を区民に限定せず、区議会としては広く門戸を開くため何人としたことです。
第6条の公文書の開示義務では、非開示とする情報を第1項で規定しています。
その内容につきましては、第1号では、個人が特定されるものの中で、通常他人に知られたくないとするプライバシーを明確に規定していることです。なお、自己情報については、開示できる旨も規定しています。
第2号では、法人等の情報で非開示となる場合を規定していますが、人の生命や健康、財産等を保護するために必要であれば開示できるとしています。また、環境に対しては、人への直接的な影響を立証しなくても開示できることも明記しています。
第3号では、区議会を始め千代田区、国、東京都、他の自治体等との内部や相互間での意思形成過程の情報で非開示となる場合を規定していますが、不当と明記することにより、公開する必要性があるかどうかを判断することとしています。また、意思形成過程に支障を与えるものではない、客観的な事実については、開示できる旨も規定しています。
第4号では、区議会の事務や事業にかかわる情報で、公開になじまない性質を持つ場合に非開示とすることとして限定しています。
さらに、第3項では部分開示を、第4項では公益上必要な場合には開示することができる旨、規定しています。
第7条では、公文書の開示請求方法を定めていますが、請求書に不備があった場合でも情報を提供する等の措置を規定しています。
第8条では、公文書の開示決定を規定しています。
開示等の決定は、請求があった翌日から14日以内に決定することとし、公文書が大量にあった場合は60日を限度として期間を延長できることとしています。そのほか、開示を行う日時や場所、非開示や一部非開示の理由等も文書で通知することとしています。
また、区議会以外の第三者に関する情報が記録されている場合には、必要があると認めるときに第三者に意見を聞くことができるとしています。
さらに、開示を決定した公文書については、情報提供として公開することも規定しています。
第9条では、費用負担を規定していますが、閲覧や視聴は無料とし、公文書の写しに要する費用については請求者の負担となりますが、公益と認められる場合に、議長は減額できることとしています。
第10条では、開示等の決定について、行政不服審査法に基づく不服申し立てがあった場合に、議長は、千代田区議会情報公開審査会の意見を聞き、不服申し立てのあった翌日から起算して90日以内に不服申し立てに対して決定する旨を規定しています。
第11条では、区議会として、情報公開と情報提供の総合的な推進と時代に対応した情報提供施策の充実を規定しています。
第12条から第18条では、開示請求者の救済機関としての役割を果たすための千代田区議会情報公開審査会の設置や組織、会議、調査権限、秘密保持を規定しています。
この審査会については、不服申し立てがあったときの審査が中心的な役割ですが、区議会としては、不服申立て人等に対して第三者性、公平性を確保する必要性を重視し、条例で明確に規定したことです。
審査会の会議については、公開を原則としていますが、非公開とする場合には、審査会が判断していく旨、規定しています。
審査会の調査権限につきましては、議長から不服申立てについての審査が求められた場合に、その翌日から60日以内に意見を述べることとしています。
審査に当たっては、審査会は、議長に対して開示等の決定に係る公文書やその内容を分類、整理した資料を審査会の指示する方法により、提出を求めることができます。また、不服申立人等から意見や説明を聴くなどの調査もできます。
さらに第17条では、不服申立て人等から審査会に対して、意見陳述や意見を記載した書面を提出できる旨も規定しています。
第20条の委任では、この条例の施行に関して必要な事項は議長が定めると規定し、今後、この条例で規定している開示請求書や開示決定通知等の様式を始め、具体的な費用負担の額、減額の対象等を規則や規程、要綱等で定めることになります。
この条例の施行日につきましては、区議会の規則で定める日と規定しました。
情報公開条例案の特色を中心に述べてまいりましたが、新しい時代を見据え、区民を中心とした請求者の権利と個人のプライバシー保護を基本姿勢とし、情報公開条例案の検討に心がけて策定作業を行ってきました。
この間、同僚議員を始め、検討過程において、様々な助言や率直なご意見をいただいた各自治体や議会、学識経験者等、関係各位にこの場をおかりいたしまして、心より厚く御礼を申し上げます。
地方分権のさなか、千代田区も基礎的自治体として、大きな一歩を今、踏み出そうとしているところです。
この条例が、区民の皆さんと共に歩む、公正で民主的な議会運営の確立につながるものと確信し、提案理由とさせていただきます。
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